突然ですが、皆さん社会人になってから初めて買った時計って覚えていらっしゃいますでしょうか?
初ボーナスやコツコツお金を貯めて買う大物時計は、誰にだって思い出深いモノ。特に社会人経験の浅い方にとって数十万以上の高級腕時計は、もう清水ダイブ必死、初めての高級ブティックに行くのも汗ダラダラ、そんな状況ではないでしょうか。私がそうでした笑。
私が社会人になって初めて買った時計は、今回ご紹介するIWC インヂュニア・オートマティック。2013年に販売されたモデルで、現行のモデルとはデザインが全く異なっています。
ご存じの方も多いかと思いますが、このモデルはかのジェラルド=ジェンタのデザイン最終型です。同氏デザインの人気モデル、ノーチラスやロイヤルオークはとても手が出せませんが、このインヂュニアは今の並行店でもそこまで高くない(とはいえ状態の良い個体は非常に高くなってますが)ので、ジェンタデザインを楽しめるいい時計だと思います。
デザインだけでなくて防水性能や耐磁性も高いので、汎用性バツグンの一本です。機能性だけでいうとロイヤルオーク、ノーチラスより高い最強のジェンタラグスポだと思います!
社会人入りたてのほんとーに辛い時(今思い出すだけで涙がちょちょ切れます)、数々の徹夜作業を共に頑張った戦友として、いつもそこにいることが当たり前の様な時計です。改めてじっくりレビューしていきたいと思います!
インヂュニアとは?エンジニア向けのツールウォッチ
ドイツ語でエンジニアを意味するインヂュニア。パイロットウォッチを得意とするIWCのラインナップのうち、より実務的な側面に特化し、耐磁性に優れた軟鉄を使用していることが特徴です。
放射線技師やパイロット等の特別磁力の高い特殊な職種でなくても、電子デバイスに身の回りにあふれた現代において、戦うサラリーマンにうってつけのツールウォッチではないでしょうか。
インヂュニアのこのデザインの始まりは1976年のモデル「インヂュニアSL」から。実はかなり歴史のあるモデルのひとつです。
私がこれを買った理由はこのデザインがかっこよかったのと、控えめ(ブランドイメージが強すぎない)ながらも高級感ある時計が欲しかったからでした。いま考えればロレックスにゼンツッパしてればいくらになったことやら・・・笑
若手会社員にとって悪目立ちしないというのは非常に大事な要素ですので、我ながらかなり良いチョイスだったんではと思っています笑。
当時は全くキャリバー性能も見ていませんでしたし、ジェラルド=ジェンタの名前も当然知りませんでした。しかしながらこのルックスに一目惚れに近い程ピンと来て、必死に在庫を都内で探したことをよく覚えています。
基本のスペック
まずは基本スペックはこちら。
Reference | IW323904 |
ムーブメント | 30110キャリバー/自動巻き |
ケース径 | 40mm |
ケース厚 | 9.9mm |
Lug-to-lug | 45.6mm |
パワーリザーブ | 42h |
防水 | 12気圧 |
当時定価 | 約560,000円 |
ケース径40mmで厚さ1センチ未満というサイジングは、汎用性抜群。細腕でも腕乗りのよい大きさで、袖口の邪魔にならない薄さ。また防水も12気圧あるので、ちょっと水に浸かる程度であれば全く問題ないと思われます。
Lug-to-lugも45mm前後なので、ケース径40mmの時計にしてはラグが小さいと思います。
また公式HPに記載はありませんが、耐磁性能は40,000A/mとのこと。JIS保証水準ですと「2種耐磁時計」に該当しますので、かなり磁気には強そうです(とはいえ携帯電話等に直置きするのはさすがにダメなので、取り扱いは注意しないといけません)。
耐磁の種類 | JIS保証水準 | 内容 |
---|---|---|
非耐磁時計 | 1600A/m | 1990年までの輸出検査で行われていた基準値。 耐磁時計以外でも基本的に満たされるレベルの値 |
1種耐磁時計 | 4800A/m | 磁気に5cmまで近づけてもほとんどの場合性能を維持できるレベル |
2種耐磁時計 | 16000A/m 以上 | 磁気に1cmまで近づけてもほとんどの場合性能を維持できるレベル |
ケース・外装について
続いて、ケースや外装を見ていきます。
ラグ一体型のデザインと重厚なイメージのステンレスが相まって、金属の塊を削り出して作られたかのような男らしさがあります。
かなりハードに使ってまして、まだオーバーホールやポリッシュに出しておらず汚くて申し訳ないです。。。もともともっときれいだったんですけど、セルフサテン仕上げになってしまっています笑。
裏側はソリッドバックです。エッジの部分はポリッシュ、それ以外はサテン仕上げで、高級感もしっかりある作りの良い時計です。決して主張しすぎず、いい塩梅でデザインされています。
側面から見てお判りの通り、腕に沿って巻き付くようにラグからブレスにかけて角度が付けられています。裏ブタもフラットな作りになっていますので、手首にフィットし着け心地がかなり良いです。
ブレスレットは3連式。ロレックスのオイスターブレスと感覚が似ているかもしれません。10年弱ガッツリ使っている割にはブレスのヨレやダメージも少なく、剛性が高く良くできているなぁと思います。
私の持っているダイヤルは、白文字盤にシルバーインデックス。レギュラーモデルでは、ほかに白文字盤にゴールドインデックス、または黒文字盤が存在します。
白文字盤×シルバーインデックスは服装も問いませんし、ビジネスにも全く問題なく使える汎用性の高い組み合わせだと思います。もちろん黒文字盤やゴールド針モデルも、どんなシーンでも何の問題もなく使えると思います。
文字盤にはレールも入っており、単純になり過ぎないような工夫がされています。針とインデックスの視認性も高く、質実剛健なスタイルが非常にカッコいいです。IWCの中に潜むドイツのDNAが流れている一面ではないでしょうか。
リストショット
手首周囲16.2センチ、幅5.3センチ前後の私が着用するとこんな感じです。
ちゃんと手首の上に収まっていますし、ケース径40mmにしては大きすぎず、ほど良いボリュームではないでしょうか。ジャケットにつけても、袖に隠れてくれる薄さを備えています。
私がこの時計を一番気に入っているポイントはちゃんと手首をホールドしてくれるところです。手首を曲げているのでスキマができていますが、伸ばすとピッタリくっつくために着け心地が本当にいいんです!
総論
まとめますと、私のこの時計のおすすめポイントは…
- ラグ・ブレス一体デザインによる高い装着感と程よいサイズ感
- ビジネス・カジュアルどちらでも使える万能型デザイン
- 耐磁・防水性能が高く、仕事はもちろんプライベートシーンでも気兼ねなく使える機能性
そう、この子全然欠点がないんです!ジェンタデザインであることから話題性もありますし。巷のラグスポはプレ値になりすぎてしまっている中で、高性能ながら手頃な価格で気を使わずに使える所は他と大いに差別化していると思います。私はこの時計があるおかげで、ロイヤルオークなどを買わずに済んでいます、今のところ笑。
似たような立ち位置の時計、ということで探すと、ロレックスのエクスプローラーがそうかもしれません。私が持っているのは現行モデルですが、そのひとつ前の39mmモデルはまさにサイズ、スペック共に似通っていると思います。
(雑に撮った写真で申し訳ないです・・・)
インヂュニアはミリタリー出身のエンジニア向けである一方、エクスプローラーはエベレストも登れるフィールド向け。「中向きと外向き」の対照的なコンセプトなのは少し面白いですね。
唯一の欠点というか気になるところはパワーリザーブが42時間しかないところ。これはひと昔前のモデルなので仕方ないですが、今なら72時間欲しいところ。私のモノは特にオーバーホールもサボっているので、42時間も動いておらずすぐ止まっている印象があります。とはいえ自動巻きなので、使っていれば問題はないですね。
満足感があり長く使える一本だと思います。良い個体が残ってたら「買い」ではないでしょうか。2022年10月時点で、いくつか中古市場に出回っておりますが、値段にして80-90万円前後の様子です。
最後に、インヂュニアの他のモデルや歴史を詳しくWebchronosさんまとめてくださっておりますので、その記事のリンクを紹介させて頂きます。合わせてご覧くださいませ。それでは!
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