【徹底レビュー・後編】ロレックス コスモグラフ デイトナ 116500LN

Watch Review

ロレックス・コスモグラフデイトナ(116500LN)白文字盤の徹底レビュー後編をお送りします。

前回の記事でご紹介した通り、デイトナはとにかく「スキのない高級クロノグラフ」。世界中で超絶人気があるのも納得のクオリティだと思います。現行のスポーツクロノグラフを比較しても、頭ひとつ抜けている存在で、前編でご紹介したその魅力は以下の通り。

  • 誰にとっても丁度良いサイズ感
  • 発売後7年経っても最新鋭の実用性能
  • バランスの取れたダイヤルデザイン
  • 「ツールウォッチ」と一線を画す高級感

一方で、個人的には「コーディネートや使うシーンを非常に選ぶ時計」であると私は強く思います。特に、(私のような特にひょろっとした)サラリーマンには「うーん・・」という感じ。それなりに不向きな時計だと考えています。

素晴らしい時計であることは大前提として、今回は敢えてイマイチなところを挙げさせて頂きます。

デイトナのイマイチなところ

ねじ込み式プッシャーが使いづらい

まずはちょっと細かいポイントから。

デイトナには王冠のついたりゅうずの両端に、「スタートストップ」「リセット」操作を行うプッシャーが付いています。クロノグラフ機能を起動するためには、プッシャーのネジをまず緩めて、解放した状態で使用しなければなりません

正直これ使うのめっちゃめんどくさいんですよね・・・!

「クロノグラフを使った後にもしネジ締め忘れて水が入っちゃったらどうしよう・・」

などと考えると、敢えてリスクを取ることはせずにクロノグラフ使うのやめよう、となります。とすると、果たしてクロノグラフの意味とは・・?

ねじ込み式プッシャーは、そもそも防水性を確保する目的のもので、RASINさんの記事によると1965年以降製造された第2.5世代デイトナから採用されていたそうです(本レビューの116500LNは第6世代と言われています)。その世代から、世界で初めてクロノグラフとして50m防水を達成したそうです。

オイスターケースをはじめとして、防水性能と深いつながりのあるロレックス。「ねじ込み式プッシャー」は、防水性能を進化させてきたブランドのアイデンティティとしての側面があると言えるかもしれません。かのウォッチ情熱応援団のYouTubeにおいても団長さんがその趣旨のことを仰っていて、確かになぁと納得しました。

元々レース用に作られたものの、クロノグラフって実はそんなに使わないよね、ていう発想なんですよね。恐らく。もともとレーシングクロノグラフとしてスタートしたものの、レーシングクロノグラフという使い方ではなくて、あくまでロレックスのオイスターウォッチであることがメイン。そしてそこにクロノグラフというのはあくまで付加価値だよ、と考えていたんじゃないかなと思うわけでございます。

「ロレックス デイトナ歴代モデル|あなたの好みは第何世代?」(12:09~)

ゼニスのクロノマスタースポーツはねじ込み式ではないプッシャーで10気圧防水を確保しているので、ねじ込み式にしなくても技術的に防水性能の確保は達成可能なのだと思われます。

ここは今後のモデルで改善してほしいなぁ、と考えていたものの、2023年新作の126500LNでも同じくねじ込み式プッシャーが採用されています。従って団長の仰る通り、デイトナはあくまで「オイスターウォッチである」というロレックスのメッセージを感じます。

現実的にクロノグラフを起動して使う場面って多くはありませんので、支障はないと言えばないです。しかしクロノグラフとしてデザインされている以上、クロノグラフの使いやすさを優先すべきとも思います。オメガ スピードマスターがねじ込み式を採用しないのは、このユーザビリティの要素を大事にしているからかもしれません。

ねじ込みプッシャーを採用し続けるデイトナに対して、「クロノグラフを使用しないという使用シーンをも見越した徹底的な実用性すごい!」と受け取るか、「クロノグラフとしてあるべき利便性を追求していないじゃないか!」として受け取るか。

私はどちらかというと後者の考えでして、少し矛盾を感じてしまうので、イマイチな点として挙げさせて頂きます。但しこれが原因で買わない、という程のものではありません。

白文字盤とセラクロムベゼルのコントラストの強さ

これは完全に個人の好みの問題になりますが、白文字盤と黒のセラクロムベゼルのコントラストが激しく、時計の主張が相当に強いためコーディネートが難しい時計であると考えます。

「定番色 * 定番色 =定番」になると思いきや、かなりビビッドな配色。ツヤツヤのセラクロムベゼルは美しく、特に白文字盤はエナメルの様な高級感があります。そのためかなり時計が目立ち、前に出てきてしまう印象があります。

まずはこちら、ホップサックのネイビージャケットにニットタイ、グレースラックスという「ザ・定番」のビジネスカジュアルスタイルに合わせたデイトナです。私はスーツ以外はだいたいこの様な格好をしていることが多いです。

黒文字盤であれば違和感なく合わせられた気がしますが、白文字盤ですとかなりコントラストがきつく見えませんでしょうか。文字盤が浮いた様な印象を受けます。

続いてこちらは、ネイビーのウールコートにストライプシャツを着た際のリストショット。そもそもネイビーとマッチしているのか微妙で、その上ストライプがあると結構うるさく見えてしまいます。

一方、こちらはグレーのコートにダークグレーのセーターを合わせていた時のリストショットです。黒、グレー、白のカラートーンが統一されていることで、デイトナの収まり感が格段に良くなっています。この組み合わせは非常に好きです。着ている服が相当に地味なので、もはや時計が主役のコーディネートと言えます笑。

そもそもジャケットを着るスタイルよりも、ポロシャツ、Tシャツなどスポーティな服装の方が合わせやすいかと思います。

また、コーディネートだけでなく肌の色でも合う合わないが分かれます。私のような色白な人が白文字盤を身に着けると、そこまで悪くはないと思いますがあまり馴染みがよくありません。日に焼けた方や地黒めな方のほうがよく似合うかと思います。

文字盤の似合う似合わないは、肌の色や目の色から判断するパーソナルカラー診断によってわかります。似合う色合いを四季の名前ごとに4カテゴリに分割する考え方で、純粋な黒と白が似合うのは「ウインター」に属するカラーパターンの人だそうです。

以前私は三越でパーソナルカラー診断を受けたことがありまして、その結果は「サマー」。白黒の様にハッキリした色合いよりも、パステルカラーや少しトーンの弱い色の方が似合う様です。パーソナルカラー診断を受けた後に気づきましたが、文字盤はシルバーや青が割と好きなのもそこから来ているのかもしれないな、と思ったり。

従ってコーディネートを選ぶことと、似合う色かどうかという点で、結構難しい時計なんじゃないかなと個人的には感じます。

ちなみに、以下のインスタに投稿されている方は非常に似合うじゃないんかなと思います。色黒、かつチノパン(?)+半袖といったラフな格好に非常に映えています。

ご時世的な外での着けづらさ

周りからの評判といいますか認知のされ方からも、かなりの着けづらさがあります。良くも悪くも、白文字盤のデイトナは非常に目立ちます。誰がどう見てもデイトナでありロレックスであります。

「派手好き」や「ひけらかし」なのではと感じ、ロレックスを身に着けている人を快く思わない層もそもそもいらっしゃる中で、デイトナはそのキングオブロレックスなわけです。仕事上はやはりどうしても着けづらいですよね・・・。

また、最近はご時世・防犯的にも着けづらい世の中になってきました。先日の銀座のロレックス専門並行店強盗事件連れ去り事件が起きています。ニューヨークの路地裏ならいざ知らず、日本でもロレックスや高級時計を狙った犯行が白日堂々行われています。市場でプレミアムが付きすぎてしまったがゆえに、悲しい現状です。

そんな理由から、デイトナを購入してから結構日が立ちますが、正直使用頻度が低いです。色々な意味で、サラリーマンには難しい時計だなぁと感じます。

サラリーマンが着けれるデイトナはないのか?

白文字盤は合わせづらいとしても、やはりデイトナはカッコいいし使いたい!やはり、時計の一つの完成形ではあるので、一本は長く愛用できるモノがほしいところ。

スーツスタイルやジャケットスタイルに良く合うデイトナはないのでしょうか?

私からの提案としては、セラクロムベゼルがコントラストを強くしてしまうのであれば、金属ベゼルタイプのデイトナならばスポーツさが軽減され、ビジネスシーンでも使いやすいのではないでしょうか。

REF. 116520 ステンレス 黒文字盤

こちらは116500LNの1世代前のモデルになります。ディスコンモデルとはいえ、キャリバーは変わらず4130が使用されているため、実用性は全く問題ないと思います。

インダイヤルのシルバーラインがややギラつき感がなくはないですが、金属ベゼルのため普通のブレス時計と変わらないコーディネートで使用できるかと。

使い込まれて小傷が入ったデイトナをラフに着けるのは相当カッコいいと思います。

REF. 116509 / 126509 ホワイトゴールド スチールブラック文字盤

こちらのホワイトゴールドのモデルは、ブルー文字盤が最も人気(126509の新作では残念ながら青文字盤は廃盤になってます)。敢えてのスチール(シルバー系)の文字盤ではいかがでしょうか。

海外でも”ghost”と呼ばれているモデルで、一番目立たないモデルになります。しかしホワイトゴールドモデル。同じ値段なのに、イエローやエバーローズゴールド等色のある金無垢素材でないところが玄人感満載です。

カチッとしたスーツにWG、実はデイトナというスタイル、想像しただけでカッコよくないですか?敢えてひけらかさないスタイルに大人の余裕を感じます。

こちらのレビュー動画においては”suit up, dress up Daytona”と紹介され、そのステルス感が最高だよね!と言ってます。

実は私が一番欲しいデイトナです。めちゃくちゃ欲しい笑。

REF. 126500LN ステンレス 黒文字盤

金属ベゼルがいいんや!と言った側から恐縮ですが、もしかしたら新型の黒文字盤はアリかもしれません。新型はセラクロムベゼルが使われているものの、外周がステンレスで囲われるデザインに変更されています。

金属インサートのおかげでセラクロムの表面積が減り、主張が少し抑えられている様に見えます。またインデックスは明確に細くなりシャープな顔立ちになりましたので、The Sport Watchである旧作116500LNから少しクラシカルな印象を持つモデルになった気がします。実際、エルプリメロ世代のデイトナにデザインを寄せているとも言われています。

このhodinkeeさんの写真もとてもお上手で、少し半艶のような質感がたまらないですね。

8月時点ではまだ国内販売はなさそう。様々な媒体では秋から販売ということになっています。SNS界隈でも新型は黒文字盤の方が人気なんでは?と囁かれており、これまた入手困難になりそうです。是非実機を拝みたいところです。

まとめ

以上、前編と後編に分けて116500LNデイトナのレビューをお送りしました。

カッコよく最高の時計ではありますが、個人的には使いづらさを感じているモデルです。万人に似合うモノではないので、その機能性・クオリティの素晴らしさはもちろんありつつも、「人気が人気を呼ぶ」ことで神格化されてしまっている様には思います。よく「ロレックスは貨幣」という方もいらっしゃいますが、まさに貨幣の様に信用と投機に支えられて出来たプレ値相場だと感じます。

モノとしては間違いがないので、本当に自分に似合っているのかをしっかり見定めてから白文字盤を購入されることをお勧めします(とはいえ、正規店で選べるわけもなく、白文字盤だけを案内されたら買うしかないです笑)

以前、友人が「デイトナはそもそも着ける場所ないんだから、人の目を気にせず自分の気に入ったデザインを買ってええんやで」と彼の知人から言われたそうです。自分が好きかどうかでまず選ぶ、それはデイトナにおける最適解だと思います。(その方はWGオイフレのダイヤ入りをお持ちです。羨ましい!笑)

皆様はどうお考えでしょうか?

今回は116500LN デイトナの白文字盤のレビューをお送りしました。また今度はロレックスの中では、エクスプローラーとデイトジャストのレビューをお送りできればと思います。

それでは!

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