はじめてのドレスウォッチ選び①: 選び方と候補モデル

lange 1 Watch Hunting

唐突ですが2022年5月、A. Lange & SöhneのLange 1(ホワイトゴールドモデル)を手に入れました。私にとって初の雲上ブランドであるとともに、はじめてのドレスウォッチでした。

それまで全くランゲの時計は検討したこともなく、まさか自分がランゲを、そしてアイコンモデルのランゲ1を買うとは正直夢にも思っていませんでした。

なぜそんな時計を買ったかというと、2022年3月に勤めていた会社で昇進し、それが個人的にはかなり大きい飛躍だったのと、ちょうど勤続10周年のタイミングが重なり、一本「気合の入る時計」を購入しようと思い立ったからでした。その数年前から腕時計を少しずつ買い集めていましたが、いずれも最大100万円クラスのステンレスモデルのみだったので、この人生の節目にステップアップした大物を一発買ったるぞー!と思ったわけです。 

時計を買うことを決めてからは、もう毎日そればかりを考える日々が始まりました。ブログのレビューやInstagram、Twitter等でありとあらゆるウェブサーチを駆使しつつ、実際ブティックに足を運んで実機を試着していました。

そうすると、不思議なことにはじめに検討していたモノからまた別のモノに関心が移っていく。。。

さらには「これぐらいの予算張るならもうちょっとだけイッてしまえばこのモデルに手が届くんでは?」「この機能でxxx万円!コスパいい!」等と言い出す様になり、段々一般常識という岸壁からから遠く離れた沖まで流されていってしまいました笑。

良いモノを見ると自分の中の基準が上がる。そしてその上がった基準を満たすような時計を手に入れないと満たされない。そんな世にも恐ろしい扉を開けてしまった結果がランゲ1でした笑。時計沼の恐ろしさを身をもって体感しましたとも、ええ。

2ヶ月ほど悩みに悩み、これまでの時計選びの中で一番悩みました。ドレスウォッチとはなにか、各ブランドの特徴や試着レビューを複数回に分けてお伝えできればと思います。

皆様の時計選びの参考になれば幸いです。

そもそもドレスウォッチとは何か?

当時既にロレックス、GS、IWCのステンレスの時計は複数本持っていたので、新たに時計を探すにあたって革ベルトの時計が欲しいなぁと思うようになり色々と検索をすると、「ドレスウォッチ」という単語を良く目にするようになりました。よく聞く言葉ですが、「ドレスウォッチ」とは、具体的には何を指すのでしょうか。

ドレスウォッチのデザインコードは2針あるいは3針、そしてなにより「レザーストラップ」を用いている点だ。

引用: webChronos

時計メディアの大家、webChronosさんによると以上の様に定義付けてくれています。本来はビジネスよりも格式の高い、冠婚葬祭を念頭に置いた「フォーマル」シーンで使う時計を指す様です。

引用: webChronos

こちらはパテックフィリップのカラトラバ、5196と呼ばれるモデルです。ホワイトゴールドケースに2針+スモールセコンドというドレスウォッチの代表格。

「秒単位での時間を気にしない」という意味合いから、2針のみの時計の方が格式高くフォーマル度合いが強いとされており、次いで2針+スモールセコンド、3針という順でフォーマル度が下がっていきます。

シンプルであればあるほど格が高くなっていくわけですが、装飾や機構でごまかしがきかない分、シンプルさのなかにも時計そのものの仕上げや質感、ひいてはブランドイメージも大事になってくるものだと思います。

翻って、私の購入したランゲ1のデザインを見てみると、2針スモセコに加えてデイト表記とパワーリザーブ表示もあります。厳密な定義に照らすと、ドレスウォッチには該当しないかもしれません。

「ドレスウォッチ選びじゃないじゃん!!」と思われるかもしれませんが、webChronosさんによると、ドレスウォッチはそんなに器量の狭いヤツではありません。

古典的なドレスウォッチを求めるなら2針や3針となるが、極端に華美にならなければ複雑機構搭載モデルでも構わない。

引用: webChronos

ありがとうwebChoronosさん笑!

革ベルトはマストとして、フォーマルシーンでも「アリ」と判断できるのであれば、それはドレスウォッチと認定しても構わないのだと思います。実際、近年はガチガチの2針時計がマストとされる様なシチュエーションは皆無に等しいと思いますし、それよりはカジュアルなものでも「TPOから外れている」と思われることは少ないのではないでしょうか。

近年、スーツスタイルでダイバーズウォッチやスポーツウォッチを使用することは徐々に市民権を得つつあると思います。服装のフォーマリティを表現することにおいて、時計が占めるウェートは下がりつつある傾向にあると私は感じています。

私個人としては、ネイビースーツにネイビータイ、ブロードシャツをバッチリ決めたスタイルには革ベルトの時計を付けている方は非常にカッコいいと思いますし、一方ポロシャツやストライプシャツ、ノータイのジャケットスタイルにはロレックスのプロフェッショナルモデルを付けてもいいんじゃないかなと思っています。私はその程度の匙加減ですが、個々人の「フォーマル許容度」に依るところが大ききかろうと思います。

ところで某諜報部員はスポーツウォッチとサヴィルロウのスーツ、タブカラーシャツが最高にカッコいいですが、日本のサラリーマンと明らかに職種が違うので同じスタイルはマネしない方がいいかなと個人的には思います笑。

少し脱線しましたが、今回のドレスウォッチ選びでは「ドレスウォッチ」を少し許容度を持ってとらえるものとし、革ベルトでフォーマルシーンで付けても問題なさそう!と思えるものを指すこととします。

今回の選定基準

というわけで、「厳密なドレスウォッチではなくても、フォーマル・ビジネスシーンでもイケるよね」というラインをつくことを念頭に、以下のような基準で探すことを決めました。

  • 予算200-300万円。新品・現行品に絞る
  • ゴールド製。ビジネスシーンでも華美になり過ぎない様に、ホワイトゴールド(WG)を選びたい
  • 文字盤は万能に使える様に、ホワイトまたはシルバー系
  • 大きすぎないサイズ感で、ワイシャツ袖口に違和感がない薄さ(40mm径、10mm厚が上限)
  • 3針又は2針スモールセコンド
  • でも折角なので複雑機構も検討したい。ムーンフェイズならあっても良いかも
  • 自動巻き、手巻きはどちらでもOK
  • ウォッチメゾンとして歴史のあるブランド

ホワイトゴールドにするかどうかについては、正直最後までピンクゴールドと迷いました。やはり折角買うなら金無垢感を出したいよねという貧乏性もありましたし笑、今までのステンレス中心のシルバーのカラーリングから一皮むけたい、とも思ったのです。

それをランゲの店員さんに相談すると、「このクラスの時計を買うのであれば、今の年齢に合ったものを選ぶのではなくて、20年後・30年後を見据えた時計選びをしてほしい。将来20年後にピンクゴールドを使っている人になりたいか。ホワイトゴールドに似合う人でいたいか。自分が白髪になった時に、どちらの時計をしていたいかで選びましょう」、と言われました。

A.ランゲ&ゾーネの時計は一生モノ。その年代になっても使い続けられる信頼性と技術力があるからこその提案だと感じました。ピンクゴールドは早いと思うようであれば、それが似合うように歳を重ねていけばいい、という逆転の発想でした。

私は迷いに迷って、「恐らく両方手に入れないと気が済まない。今は心理的に障壁のないWGから手に入れるべし」という心の声に従い、まず一本目としてはWGに絞ることにしました笑。

ひとまずの候補時計5選

以上の条件を(おおむね)満たす時計として、まずは以下の5本をリストアップしました。実はこの時点では、ランゲ1は全く選択肢に入っていませんでした。なぜなら400万円を大幅に超えてるんだもの。。

  1. JLC: Master Ultra Thin Moon / マスターウルトラスリムムーン
  2. VC: Traditionalle / トラディショナル
  3. VC: Patrimony / パトリモニー
  4. VC: Fifty Six Complete Calendar / フィフティーシックスコンプリートカレンダー
  5. AL&S: Saxonia Moonphase / サクソニア・ムーンフェイズ

(引用: 各社公式ホームページ、ジェムキャッスルゆきざき)

こうして並べてみるとかなり圧巻ですね。それぞれのスペックは以下の通り。

マスター
ウルトラスリム
トラディショナルパトリモニーフィフティーシックス
コンプリートカレンダー
サクソニア
ムーンフェイズ
材質ステンレスWG / PGWG / PGステンレスWG / PG
ムーブメント自動巻き手巻き手巻き自動巻き自動巻き
ケース径39mm38mm40mm40mm40mm
ケース厚9.3mm7.8mm6.8mm11.6mm9.8mm
パワーリザーブ70h65h40h40h72h
防水5気圧3気圧3気圧3気圧3気圧
値段1,434,400円2,816,000円2,618,000円3,454,000円4,103,000円
(定価は2022年8月時点)

値段は2022年8月時点のものを記載していますが、検討していた3月頃から一気に上がってしまいました。A.ランゲ&ゾーネは5月、JLCは6月、VCは7月に値上げしていたはずです。そしてJLCは9月にももう一発、今年3回目の値上げを予定しています。

手元のメモだと、マスターウルトラスリムムーンで132万円、トラディショナルで255万円、フィフティーシックスで300万円程、サクソニアムーンフェイズで379万でした。10-20%近く上がってきていますので、時計は本当欲しいと思った時が一番安いですね・・・!

スペックだけ見ると、マスターウルトラスリムムーンが圧倒的にコスパに優れていることが分かります。ステンレスとはいえ、パワーリザーブと防水性に優れているので実用度は最も高いかと。見た目もかなり好きなので、他の時計と比較した際に100万円近くお金が浮くのは魅力的です。

VCは世界3大時計の一角ですし、ブランドネームは十分。この中で機能的にもバランスが取れているので、本命はトラディショナルと考えていました。

サクソニアムーンフェイズも魅力的ですが、ランゲは全体的に頭二つ分ぐらい高いので正直あまり真剣には考えていませんでした。せっかくなら見ておこうという記念受験枠笑。

試着前の印象

実機を触る前の下馬評は以下の通り。

  • マスターウルトラスリムムーン: ★★★
  • トラディショナル: ★★★★
  • パトリモニー: ★★
  • フィフティーシックス: ★★
  • サクソニア・ムーンフェイズ: ★

またこの3つのブランドは、真面目なマニュファクチュールブランドというイメージがしっかりしており、どちらかというと少し大人しめなチョイスかと思います。高級腕時計とはいえ、あまりぎらついていない方がビジネス上はいいかなと。

候補の中からパテックフィリップを外した理由は、実際売っていない(買えない)のと、まだ自分には早いかなと思った次第です。いずれ欲しくなるのかもしれませんが、先ほど挙げた5196も2022年にはディスコンになると聞いていましたし、それ以外の時計だとカラトラバであっても買えないという噂。

またオーデマピゲはドレスウォッチラインはなくなっており、昔あったジュールオーデマのシリーズはディスコンになってしまっていました。CODE11.59もかっこいいですが、ちょっとスポーティですよね。

そんな訳で一旦3ブランド5本に絞り込み、それぞれ実店舗で試着をしてまいりましたので、次回以降はそれぞれのブランド紹介や試着レビューをお送りしたいと思います。

ここまでご覧いただきまして、ありがとうございます。もしコメントやご意見あれば、コメント欄に頂戴できれば幸いです。

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