はじめてのドレスウォッチ選び②: ジャガールクルト編

Watch Hunting

はじめてのドレスウォッチ選び、第二回でございます。

前回、自分の昇進祝いとしてのドレスウォッチ選びの基準とはじめの候補5選を書かせて頂きました。今回は一見に如かずの実地調査ということで、まずジャガールクルトのブティックにて試着レビューとそのブランドについて書いていきたいと思います。

前回の記事はこちらから⇒「はじめてのドレスウォッチ選び①: 選び方と候補モデル」

ジャガールクルトは時計業界の「技術屋」

ジャガールクルトはムーブメントが素晴らしい、と良く言われます。創業以来自社一貫生産を守り抜いており、その技術力の高さで広く認知されています。スイスのジュウ渓谷で1833年から創業しており、当時分業が主流だった時計作りを、自社で一貫して行えることは競争優位があると言われています。

製品の有名どころでいえば、レベルソ、マスター、ポラリスのシリーズは人気があると思います。

 

また自社の製品だけでなく他社の製品にもムーブメントを供給していることで有名です。同じリシュモングループのカルティエだけでなく、世界三大時計のパテックフィリップ、オーデマピゲ、ヴァシュロンコンスタンタンにも供給しているとのこと。

自動車で例えるならば、エンジンやらバッテリーをフェラーリやポルシェに一手に卸しているようなモジュールメーカーというイメージでしょうか。派手さはないものの、しっかりとした技術を土台に堅実なモノづくりをしている、そんなブランドだと思います。

実際にラインナップを見てみると、一般に普及されるモデルは薄く小型・高性能なムーブメントが多いですし、超高級ラインナップにはトゥールビヨンをはじめ超複雑機構系を得意としていると思います。

引用: JLC公式ホームページ

  

いざ、マスターウルトラスリムムーンを試着

今回の候補の中で、最も価格帯の優しいJLCからまず見ることに。お目当てのマスターウルトラスリムムーンです。

引用: JLC公式ホームページ

マスターシリーズは、懐中時計のデザインを踏襲した薄型のラウンド型のシリーズです。ブランドの真面目な時計作りを体現しているモデルであることが、実際に手にしてみると非常に良く分かります。針とインデックスは研ぎ澄まされたようなシャープさがあり、完全シンメトリーの調和のとれた文字盤デザイン。派手さや華やかさ目立つことよりも、その作り、デザインの堅実さで勝負する。そんな職人気質なところが、まさに仕事用時計にはうってつけではないでしょうか。

スペックは以下の通りです。スペック上も、堅実さがありありと現れていると思います。

  • ムーブメント: 自動巻き
  • ケース径: 39mm
  • ケース厚: 9.3mm
  • パワーリザーブ: 70h
  • 防水: 5気圧
  • 価格: 1,434,400円(2022年8月時点)  

ステンレスモデルにはシルバー、ブラック、ブルー文字盤の3色と、ピンクゴールド(PG)素材の計4つのバリュエーションがあります。

 

正規店に見に行った時には、ブルー文字盤とPGのモデルしかなかったので、そちらを拝見させて頂きました。真ん中はパワーリザーブモデルですね。

 

どうでしょう、このブルー文字盤!めちゃくちゃ美しくないですか。文字盤の反射がまるで生き物のような輝きで、妖しさすら感じました。暗がりの場所ではネイビーから黒にも見え、色の変化も楽しめます。店員さんの話だと、青文字盤は意外と使いやすく、かなりオシャレに使えます、とのこと。

この時計は例えばシルバー/ホワイト/ブラック文字盤等のスタンダードカラーの時計を幾つか集めた後で、1本アクセントとして持っておくには非常に良い選択ではないでしょうか。

 

次はPG。これも素敵ですよね。ムーブメントなどの中身はステンレスモデルと変わらないそうですが、外装、針、インデックスが当然ゴールドになります。また秒針が青焼きであることと、ムーンフェイズの星と月も本体色に合わせてゴールドに変更されているところがまた憎い。写真は少し引き目で撮ってますが、サイズ感もよく、かつPGも肌なじみが良いです。

このPGモデルは、お値段は当時の価格で250万円ぐらいだったかな。ゴールドケース+複雑機構にしては、破格の価格設定でした。(2022年8月時点では283万円に値上がりしてます)

店頭ではムーブメントを撮影するのは難しいので、以下の公式ホームページの画像をご覧ください。ゴールドのローターにまず目がいきますが、地盤につながるコートドジュネーブ加工や青焼きネジ等、細部まで手を抜いていない様子が分かります。

引用: JLC公式ホームページ

実機を見て、すごく良い時計だと思いました。ドレスウォッチの中では珍しい5気圧防水であること、パワーリザーブが70時間、ステンレスは実用性は抜群。ムーンフェイズのデザインも「あるべきところにある」という感じで、決して派手にはならない。仕事用には本当間違いがない一本だと思います。

またマスタースリムシリーズには3針デイトのモデルもあります。こちらも無駄のないデザインで非常にかっこいいのですが、残念ながらパワーリザーブが38時間しかありません。。。ムーンフェイズは昨年2021年にモデルチェンジしてムーブメントも大幅改良されたのですが、3針デイトの方はモデルチェンジしていない様です。え価格差を考えてもかなり割高に感じてしまったので、こちらは検討しませんでした。(3針デイトは1,135,200円で、その差約30万円。2022年8月時点)

 

JLCは結局見送り

非常にいい時計だったのですが、結果的にJLCは見送りました。その大きな理由は、あまりにも実用的すぎるから。

ビジネスの場面で「目立たない、しかしいい時計」という、出る杭打たれる日本社会のスキマをくぐるようなポジショニングは非常に魅力的なのですが、「昇進+勤続10年」という折角のハレの機会なので、もう少し背伸びしてもいいんじゃないかな?と思ってしまいました。

ルクルトの時計は、コストパフォーマンスと実用性を重視するのであれば非常に良い選択肢だと思います。雲上ブランドであれば250-300万円超えの価格帯のものが、JLCならばステンレスで100万円台で収まります。

ルクルトの昨今の値上げとペースはえげつないので「お安い!」とは言い切れないのですが、ほかの時計もガンガン値段が上がっていますので、相対的に見て価格と性能のバランスが良く、間違いのない時計だと思います。「今買わなくてもいつか必ず手にする時が来る」と直感するほど良い時計でした。(実際にこれをすぐ買うことになるのは、また別の話・・・笑)

 

以上、ジャガールクルトの試着レビューをお送り致しました。記事をご覧いただきましてありがとうございます。次回はヴァシュロンコンスタンタンの記事をアップしていこうと思います。 

コメント

タイトルとURLをコピーしました