【パテックフィリップ WAGE 東京2023】世界一のメーカーの懐の深さは世界一だった

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パテックフィリップの世界に未だ足を踏み入れたことがないMMですが、Twitterのお友達と一緒に例のパテック展(Watch Art Grand Exhibition)に行ってまいりました。

終始圧倒されまくりで、今までで訪問した美術展のなかで一番「凄さ」を感じました。ひとつひとつの展示品・時計ももちろん素晴らしいのですが、このイベントから伝わるパテックというブランド全体の文化、世界一のクオリティ、懐の深さがとんでもないことになっていました。もしまだ行かれてない方は、6/25までの開催ですので是非足を運ぶことをおすすめします。そして一回行っただけでは全く足りません笑。

この規模を無償でやるパテックの偉大さ

会場は新宿の一等地、新宿住友ビル。今回の東京エキシビジョンは過去のエキシビジョンの中でも最大級だそうです。ここに6月10日から25日の約2週間、全500点以上のタイムピースが展示されています。

展示されている作品は、過去の王侯貴族のコレクションから現行品まで全て貴重なものばかり。ルパンか怪盗キッドが来てもおかしくありません笑。

単純な場所代だけでも相当な金額ですが、レセプション、誘導、時計技師、セールス、セキュリティ、その他スタッフの人件費、各作品の輸送コスト、高額な商品を守る損害・盗難保険、駅・空港での大掛かりな広告を含む販促費・・・総費用は全く想像もつきません。

これらのコストを支払ってでも、パテックの歴史と文化を伝えるべくこのイベントを完遂させる心意気と財務余力(!)に「時計界の絶対王者」としての矜持を感じました。

顧客たる超富裕層の方々にはもはや感謝しかない

私はフリーの一般客ですが、パテックの既存顧客の方は「招待客」としてイベントに参加していた様です。顧客の方々は特別なサロン・商談スペース等が設けられていただけでなく、顧客とともにセールス担当が常に会場を帯同しておりました。

そのセールスの方の会話を耳をそばだてて聞いていたのですが(卑しい)、彼らの知識のすごいことすごいこと。展示されているほぼすべての時計に関して解説するだけでなく、「xx様がお持ちのxxというモデルは、この懐中時計をルーツに持ってまして云々・・」といったパーソナルな解説も交えて紹介してました。自分が持っているモデルと、過去の偉人や偉作と結びつきが明確になるとより愛着が増しますよね。そうした圧倒的な営業力も超一流であると感じました。

上述の通り、パテックはとんでもないコストをかけてこのイベントを開催しているわけですが、それを支えているのは彼ら超富裕層。彼らのおかげで一般客の私もこのイベントを見ることができており、そのお恵みを享受できているわけで、大変ありがたいお話です。「パテックのパテックによる富の再分配」を感じました笑。

MMが惹かれたコレクション

イベント運営に関してはここまでとして、本題のコレクションについて触れたいと思います。正直パテックの時計は全く詳しくなく、雲の上の存在過ぎてあまり研究してこなかったのですが笑、それでもエキシビジョンは非常に楽しめる内容になっておりました。

日本を題材としたハンドクラフト

東京開催ということもあり、日本にちなんだユニークピースが並んでいました。特に気に入ったのは木象嵌(もくぞうがん)の芸妓。木目の異なる250枚の突版と30の小さなインレイを組み合わせて作っているとのことで、45ミリ径の中に収める技術力に感嘆。ライトブルーの着物の色合いと木目が素敵です。武士も好き。

懐中時計コレクション

パテックと言えばグランド・コンプリケーションですが、懐中時計のグラコンは迫力が違います。リピーター、クロノグラフ、ムーンフェイズ、カレンダー・・・腕時計よりも一つ一つの機能をよく見ることができます。画像1枚目は1895-97年のもの。

また1670年代のムーンフェイズ・カレンダー機構が付いたものも圧巻でした(画像2枚目)。インデックスがペイントではなく彫りで表現されているのは、現代でもNH Watchでも引き継がれているんだなあと思いました。

これらの懐中時計を見た後に腕時計を見ると、1900年以降に作られた腕時計達のその進化を感じることができ、非常に楽しいです。

ジュエリーコレクション

ジュエリーのラインナップも非常に豊富でした。個人的にジュエリーそのものはそこまで関心がなかったのですが、時計と組み合わせることで関心が高まることに気づきました笑。

写真一枚目は今年のエキシビジョンでも目玉の一つ、1851年にヴィクトリア女王に贈呈されたペンダントウォッチ。ブルーの部分は七宝で作られています。

写真二枚目、三枚目は1911年製のペンダントウォッチ。釣鐘の部分に時計がはめ込まれており、天使が鐘を下げている様な、ハーピーのような姿がとてもかわいいです。

ジュエリー好きな女性がこのパテックのジュエリーラインナップを見るとどう考えるのか、興味があるところです。

クロノグラフ

グランドコンプリケーションも見どころですが、各機構ごとにまとめて展示されており、それぞれの時計も楽しめました。

一つはみんな大好きクロノグラフ。上の画像はレディースのダブルスプリットのクロノグラフ。先ほどの懐中時計をそのまま濃縮したかのようなデザインで、そのサイズはなんと33ミリ。普通に女性が使えるサイズになっており、かつラグは繊細で華奢な作りになっておりフェミニンな印象が出ています。

こちらもスプリットクロノグラフ。こういうクラシカルなツーカウンタークロノグラフって本当にかっこいいですよね。

パーペチュアルカレンダー

パテックの代表的な複雑機構、パーペチュアルカレンダーの現行のモデルです。昔は少し文字盤が忙しい気がして敬遠していたのですが、改めて見るとそんなことはなく、均整のとれたデザインだなぁと気付かされました。特に5327Gの青は深い海のような輝きに見惚れてしまいます。なおお値段は海よりもっと深い笑。

懐中時計のコンプリケーションを見た上でこれを見ると、このサイズかつ腕時計としての使用に耐えうる耐衝撃性や精度を持っていることに驚きますね。

ワールドタイム

パテックのもう一つの目玉機構、ルイ・コティエ式ワールドタイム。昔のモデルはもちろん、東京2023モデルとして東京周辺のワールドタイムが発表されていました。

ワールドタイムはいつかは欲しい一本です。ただ現行や限定モノよりも、過去の5110Rや5110Gが文字盤がスッキリしていて視認性も良く、実用には良さそうに思えました。

これら以外にも、もっともっと凄い作品は沢山あったのですが、パテック初心者の私には理解が追い付かなかったので2回目いけたらしっかり見ようと思います笑!

部品の加工工程サンプルや実演も見どころ

こちらは地盤の加工工程のサンプルです。大きめに切り出されたパーツが次第に細かく加工されていき、面取りやポリッシュなどが施されていき最終部品が出来上がる一連の流れがわかります。

特にこの歯車の部品加工工程は圧巻でした。ホイール状のパーツから、歯車の歯を付け、綺麗に磨き込んでいく。これを数百点以上の全てのパーツにやっていると思うと、そりゃ時計高いわ…と納得します笑。

以前A.ランゲ&ゾーネの工房のDVDを購入し妻とも一緒に見ていたのですが、時計にそこまで興味のない妻でも工房や職人が働く姿を見ることで時計の価値やすごさが分かったと言っていました。腕時計は40ミリほどのただの金属の塊ですが、その中身と外装がどのように作られているか理解することは改めて大事だなと思いました。

また、技師さんがいるブースでは、各ムーブメントの機構を説明してくれたり、解説付きで一から組み立て実演をやってくれたりします。私が行った時には、女性の技師さんが水平クラッチと垂直クラッチの違いを丁寧に解説頂きました。一方的な解説ではなく、適宜質問にも答えてくれて「人間味」を感じることができました。

小学3-4年生くらいの子が目をキラキラさせながら話を聞いていて、とても良い経験になってるんだろうなぁと思いました。うちの子ももう少し大きければ連れていきたかったです。子どもの頃の原体験って強烈に残る可能性がありますしね。しかし時計全体に興味が出てくれればいいですが、パテックだけが好きになられるとお父さんは困ってしまいます笑。

お土産はカタログ

エキシビジョンを見終わってから、最後に物販でカタログを購入しました。今回展示されていた時計が全て掲載されており、見返すのに非常に役立ちます。お値段は3,300円。

こんなに素晴らしいイベントを開催してもらって、庶民にも貴重な体験させていただいてるので、折角なら物販で貢献するか・・と思い購入したのですが、ところがどっこい

さすがのパテック様、スキがありません・・!!

以上、大満足のパテック展でした。繰り返しになりますが、このイベントは本当に行った方がいいです。次日本にまたエキシビジョンが来るのは30年後か?もしくはもう来ないか?といった話も聞きますので、今楽しめるうちに是非行かれることをおすすめします。

私も是非期間中に2回目になんとか行きたい。

それでは!

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