どうもMMです。
恐らく日本の時計オタクは大方読んでいるであろう、みんな大好きクロノス日本版。2/3発売の105号は「時計愛好家の生活 Part 11」が特集でした。今回この特集をしっかり読んだのは初めてでしたが、その愛好家たちのプロフィールのすごいことすごいこと・・・
スカウター壊れんばかりの戦闘力
- 事業を継承して多角化した実業家
- 一族から事業を受け継いだ実業家
- 弁護士先生
- ミシュラン3つ星レストラン獲得の気鋭のシェフ
などなど、総勢8名の愛好家の方々が特集されていました。
もう一人ひとりのお持ちのコレクションがすごすぎて、嫉妬も何もなく関心するばかりです。2,000万円超の時計を、しかも同じモデルの色違いを4本そろえるなんて・・・
時計の趣味はお金がなくてもその範囲で楽しめますが、間違いなく多ければ多い程選択肢は広がるので資本力がはっきりとモノを言いますよね。今回の特集に出られていた方々は、その中でもケタが違うなぁと圧倒されてしまいました。
もちろん雑誌に登場されるような方々なので、特別アッパーな方々であることは重々承知しておりますし、こうした眼福な時計達を紙面で拝めるのはありがたいことだと思っています。ただ「高くて複雑な時計を集めること=時計趣味としてあるべき姿・終着点」に見えてしまわないかなぁと少し疑問に思いました。クロノスの方々からするとそういうメッセージを伝えたいわけではない、ということは分かっているのですが、贅の尽くされたラインナップにそう感じてしまったのです。
では、時計は高ければ高い程良いのか?
いやぁ、もちろん高い時計大好きですし、私も欲しいです笑。価格も高く仕上げの素晴らしい時計にしかない満足感はありますよね。
例えば超高額時計、というと500-600万円を超えてくるレンジかなと思っています(この基準はすごく個人差があると思います笑)。その金額で5大ブランドの時計を買うと、エントリーモデルを超えて、概ねコンプリケーション系になってくる価格帯かと思います。
A. Lange & Söhneで言えば、640万円(2023年2月時点)で1815アニュアルカレンダーが手に入ります。高くなればなるほど、超精密・超絶技巧が組み込まれている為、時計好きには憧れに映ります。(しかし1815アニュアル、マジでカッコいいですよね・・・)
もうそのクラスの時計は、家宝・芸術として愛でるに値するでしょう。
一方でこうした時計は汎用性は必ずしも高くありません。防水・耐磁性能はおろか、精密すぎる・高級すぎるゆえに扱いは非常に慎重にならざるをえません。またデザインもより派手になりがちなので、悪目立ちしてしまう場合もあります。普段使いするには相当な気合が必要です。(とはいいながら、ランゲはそのあたり非常に上手なバランスで作成されており、WGだと嫌味が全くないのがすごいところ・・!)
また維持管理の面でいうと、一本コンプリケーション系を買うと、だいたい4-5年のオーバーホールで一回30万円前後。40年連れ添うとすると、それだけで~240万円の計算になります。車の方がもっと高い(車検、自動車税、ガソリン、駐車場、保険などなど)ですが、なかなか負けてませんね…!シンプルなモデルであれば、こんなに費用は掛かりません。
実用・金銭面で考えると常軌を逸していますが、それでも時計好き達はこうしたロマンあふれる時計に惹かれてしまいます。そしてそれは何にも代えがたい。自己満足という上では高い時計の効用は否定できません。
一般サラリーマンは「時計愛好家」にはなれないのか?
そうした家宝級の時計を何個も抱えるのは、MMのような一般サラリーマンにとって現実的に厳しいでしょう。そうした時計を何本も買い揃える「時計愛好家」という楽しみ方ではなく、他の部分で時計蒐集の楽しみを見出す必要がありそうです。
一つのアイディアとしては、ルールを設けることはいかがでしょうか。
本数ルール
例えば保有するコレクション数を決める。10本を上限として用途をちゃんと考えて以下のカテゴリに分け、それぞれ2本ずつ買うのはどうでしょうか。
- フォーマルドレスウォッチ(2針スモセコ等。冠婚葬祭も対応)
- ビジネスドレスウォッチ(普段使いの革ベルト時計。コンプリケーション過ぎなければなんでもOK。主に秋冬に活躍)
- ビジネスブレスウォッチ(シンプルな3針のブレスレット時計。主に夏場や天候が悪い日に活躍)
- ツールウォッチ(主に休みの日、アクティブに使うスポーツ系)
- 趣味枠(上記に割り振られない、何でもあり枠。クロノグラフや金無垢、トゥールビヨン等の「ロマン」枠)
これらの制約の中で、自分が一番好きなモノをそろえていく。ちゃんと用途を決めて揃えていくので、コレクションの被りがなく、使わない時計が発生してしまうのを避けられます。
それでも使わない時計は、売却をしてコレクションを循環させていく。一度10本揃えてしまえば、入れ替えによって出費も少しは抑えられます笑。
思い入れのある時計を買う
さらに時計を楽しむには、いかに「思い入れ」を詰め込むかが重要になってくると思います。
誕生日、昇進、出産等の何かの記念
ブランドの歴史、製品のコンセプト、デザインを自分のスタイルに当てはめてみる
そうした「自分」と「時計」の共通点を見出すことで一層楽しめるのではないでしょうか。「時計の高い安い」という基準ではなく、「自分にとっていかに特別か、自分に合っている時計なのか」に価値を置いて考えることができれば、より深く時計を愛せるかと思います。
私がランゲ1を購入したのも、昇進と勤続10年がきっかけでした。それにふさわしい時計って何だろう?と考えたときに、自分に対して期待することと重なったのが大きかったです。
- A. Lange & Söhneはフェルディナント・アドルフ・ランゲが若くして大事を成し遂げ、苦難を乗り越えた上で復活するというストーリー
- ランゲ1は1994年にブランド再興の際に作られた最初の時計のうちの一つであり、過去とこれからをつなぐ一本であること
これから改めて仕事を頑張る、兜の緒を締めねばならぬという気持ちだったので、最適な一本が選べたのではと思っています。後で判明したことですが、第2子の誕生日がこのランゲ1のシリアルナンバー下3桁と同じだったのが分かり、より運命を感じました。
一方で、時計は出会いでもあるので、自分の狙ったタイミングで必ずしも買えないのが悩ましいところなんですけどね・・・笑。
地に足ついた方の時計観は素晴らしかった
今回のクロノスを読んだ後に、たまたま読んだ広田編集長と花王ブランドマーケティングセンター石井さんの対談を読んで、「いいなぁ、こうありたいなあ」と思いました。
広田: 時計もクォーツが出てきた時に、実用上の精度競争はある種終わっていますからね。
石井: そうなると商品を選ぶべき理由は機能の裏側にあるということ。それをストーリーテリングと言っていますが、誰が作ったとか、どういう人が使ったとか、どんなこだわりがそこにあるのかとか。ロレックスのパラクロムのひげゼンマイだ、オメガのコーアクシャル式脱進機だといっても、精度を求めたらそれを通り越してクォーツを使えばいいじゃないですか。でもそこにこだわっているというところにやっぱり男は萌える(笑)
https://premium.lavida.jp/wwg/article/baton/3227/
石井: 自分に似合うかっていうのは気にします。用途やシーンにふさわしいか、ファッション的には、時計やストラップの色がベルトや靴と統一感があるか。その中であまり高価な時計だとそれに見合った服装が思いつかない。そんな意識が強くあります。
広田: ご自身に規範を設けて、その中で楽しむってことを意図的にやっていらっしゃる。
石井: そうですね。高級時計の一点豪華もいいけれど、なんかバランスが合わないというか。どんなに憧れていてもサラリーマンがする時計じゃないでしょって思ってしまう。これまで使った金額を考えれば買えるかもしれないんですけど、でも買わない。
広田: それは何故ですか。
石井: やっぱり、それをつけている自分の姿が想像つかないからでしょうね。
広田: その気持ちは僕もわかります。自分とは違うっていう感覚。
(中略)
石井: やっぱり私はサラリーマンなので、自分で上限というか枠をはめないと趣味に溺れるわけにはいかないわけですよ。この範囲内で追いかけて楽しもうっていうことになるし、ストーリーを求めるのであれば、別に数を増やす必要もないですし。
https://premium.lavida.jp/wwg/article/baton/3228/
本数を決めてストーリーを求める、というのは実は石井さんが提唱しているわけですね・・偉そうに書きましたが、元ネタがあったんです笑。とはいえ、きわめて現実的な発想だと思います。
時計趣味とどう向き合うか?は永遠の課題でもあるので、広田さん/石井さんのインタビューはそれを解きほぐす一つの大きなヒントになりました。今のところ、今の生活スタイルにおいては一番しっくりくる考え方でありました。
皆さんはいかがお考えでしょうか?是非ご意見伺えればと思います。それでは!
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