懐中時計モチーフの腕時計に心惹かれるわけで【NH Watch、1815Up/Down】

Watch Talk

どうもMMです。

先日、「図解 時計の歴史」という本を読みました。その名の通り、時計の歴史について豊富な図解と割と誰にでもわかる文章で、とってもわかりやすくまとめてくれている本です。私のような初学者には嬉しい限り。結構おすすめです。今回は懐中時計モチーフの時計のお話をば。

今の腕時計を知るなら、懐中時計デザインをもっと知るべし?

腕時計の歴史を紐解くと、実際に男性用腕時計が販売されたのは1904年。カルティエのサントスが始まりで、パイロットがハンドルを握ったままでも見やすい形状にしてくれ、というリクエストから誕生したのは有名な話ですね。ちなみに女性用はもっと早かったようで、ブレスレットに時計を埋め込むという行為は19世紀から行われていたという話もあります。

Before 腕時計の時代においては、当然ながら懐中時計の時代だったわけで、正確な発祥はわかりませんが1600年代からと言われています。1675年にクリスチャン=ホイヘンスがひげゼンマイを使ったテンプ時計を開発し“世界初の実用的な機械式時計”ができたと言われています。日差1時間だったものが1分ほど精度・安定性を手に入れたあと、マリンクロノメーターの開発、そしてアブラアン=ルイ・ブレゲによる様々な発明によって大きく技術が進歩。1700年代の時計産業が新たな発見と開発、驚きに満ちた時代だったことは想像に難くありません。

1900年以降、腕時計にその世代を渡す約300年もの間、懐中時計は実用に耐えてきたわけです。トータルで考えますと、腕時計の歴史よりももっと長い。

その時代からブレゲ数字・ローマン数字、ブレゲ針、スモールセコンドといった時計好きからすると所謂「たまらん!!」とされるディテールは、全て懐中時計から存在するわけです。

例えばランゲの懐中時計をみるとこんな感じ。

一枚目はリヒャルトランゲ、二枚目は1815 Up/Downに受け継がれています。ランゲが当時のデザインを忠実に現行のモデルにも再現していることにも驚きですが、それ以上に古さを感じさせない、良いと思えるデザインが懐中時計にあることに驚きです。「いい」と思えるものの源流を遡ることは、より腕時計を知るうえで重要なことなのではないでしょうか。

現代に残る懐中時計モチーフの時計

懐中時計モチーフで個人的に気になるのは、NH Watchとランゲの1815Up/Down。

NH Watch Type1DとType3B

NHは現代のテクノロジーでヴィンテージ時計を復刻することをコンセプトとしており、ディティールと製造への情熱が凄い時計です。Type 1Dは9時位置のスモールセコンドが目を惹きますが、各パーツの製造背景を聞くともっと驚きます。

ダイヤルは3パーツ分割にされており、一枚の文字盤をくりぬいて作られていないため、外周とスモセコ箇所に非常にわずかな隙間があります。Type 1Dより過去のモデルではパーツ分割がなく一体成型であるため、横に並べてみると立体感が全く違います。人間の目はそうした細かな違いで情報処理をしていることに驚きです。これらパーツ分割は懐中時計時代によく用いられた手法だそうです。

そしてなんといっても素材は洋銀。ランゲ好きにはたまらない洋銀です。

また文字盤のインデックスは手彫りで、彫った後にカシューを流し込んで着色しています。現代の時計作りにおいては手間がかかりすぎてどこもやっていないそうです。手彫り感は、こちらのムーンフェイズのモデルであるType3Bの方がより感じられるかと思います。

ケースはSUS 904Lというロレックス全般や他ブランドで限定的に使用されている、加工の難しいステンレスが採用されています。ロレックスのステンレスは、ほかのステンレスと一目瞭然の輝きを誇っているので、個人的に大好きなんです。904Lと洋銀という素材だけでもう好きになってしまいます。

また青針もぷっくりとした立体感を出すために、プレス製法ではなく削り出しで作られているとのこと。針の繊細さを見ると、その削り出しの技術のすごさがわかります。基本的に日本の工場で加工が行われているとのこと。

ここまで手間暇かけられて作られた時計のストーリーを知ってしまうと、これは欲しくなってしまいます。作り手の顔が見える特別な時計です。

A. Lange & Söhne 1815 Up/Down

続きましてA.ランゲ&ゾーネからは1815Up/Down。こちらは旅時計がモチーフで、外周に書かれたレイルウェイミニッツトラックがまさに懐中時計感満載です。個人的にはより懐中時計感のあるPGの方が好きですね。PGのモデルはケースサイドと裏がポリッシュになっているので、ランゲの名中でも特別感があります。

目を引く二つのカウンターは、パワーリザーブと秒針。パワーリザーブはランゲ1でもついていて、非常に便利な機能です。

アラビアインデックスはプリント式で、よーく見るとぷっくりと隆起しているのがかわいい。そこに唯一無二の青針が映えます。私の撮影した写真ではその青さが全く分かりませんが、太陽光にさらされたときの写真はスカイブルーにも見えるほど鮮やかな青です。

腕に乗せると39ミリケースのおさまりがよく、PGケースはよりカジュアル・クラシカルに、WGケースはソリッドな印象です。

かっこよくて実用性も十分なのですが、問題なのはそのお値段・・・2023年3月20日から、なんと490万円になりました。。。いつか欲しいけど・・欲しいけど・・!!笑

腕時計の「その先」に、あえて行かない選択肢

振り子時計→懐中時計→腕時計と時代は進化してきましたが、その先はあるのでしょうか?

大航海時代⇒マリーンクロノメーターや高精度の懐中時計、産業革命/鉄道、飛行機の登場⇒腕時計といった様に、生活様式が大きく変わったことに伴って時計も進化してきました。スマートフォンなどのデバイスの進化や、直近のコロナによる在宅や行動制限は、ある意味「時計をしなくなる」方向への時代の変化かもしれません。

でも、そこをあえての機械式時計、あえての懐中時計デザインにとても心惹かれます。手首周りのわずか4センチ弱の個体に詰まったロマン。クラシックなものはいつでも素敵です。NH Watchも1815Up/Down、手に入れる様に仕事を沢山頑張ろうと思います・・・!

それでは!

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